『形成外科とは先天性および後天性の身体外表の形、色の変化、すなわち醜状を対象とし、これを外科的手技により形態(美容)解剖学的に正常(美形)にすることを手段とし、その目的は個人を社会に適応させるものである』
これは私の恩師である、前昭和大学形成外科教授(現名誉教授)の鬼塚卓弥先生が提唱したものです。
恩師の教えに従い、形成外科は保険診療で行うものであると考え、当院では美容外科を標榜していません。
■一般外傷(擦り傷、切り傷、切、挫創など)
形成外科医は特殊な縫い方をして傷跡が残らないと言われる事がありますが、そんな事はありません。傷跡は残ります。(へェーと思われるかもしれませんが)ただ目立たないのです。
理由を書けば長くなりますが、そのポイントとの1つとして形成外科医の技術としての「真皮縫合」が挙げられます。
これは皮膚の真皮で皮膚表面を縫わないで良い程縫合するからです。そのため表面は細い糸で細かく縫うことが出来、結果として傷跡が目立たなくなります。
■陥入爪(巻き爪)
爪の側爪郭(爪の先端の横の部分)が皮膚に食い込み、炎症(化膿)を起こし、悪化すると肉芽を作ることがあります。
原因としては、深爪、窮屈な靴(ハイヒール)、外傷、外反母趾などが挙げられます。
治療は症例(患者さん)に応じてワイヤー法と手術療法を行っています。
陥入爪の代表的な手術方法として、以前は恩師の鬼塚法で行っていましたが、その後改良を加え現在は陥入した爪母(陥入した爪の生えてくる基のみ)を切除する侵襲の少ない方法で行っています。
東京逓信病院時代(H2〜H15年)年間約800〜1000例の手術を行っていましたが、その内50〜100例は陥入爪の手術でした。
■ほくろ、いぼ、盛り上がったシミ
医学的に言えば、色素細胞性母斑、脂漏性角化症などですが、稀に悪性化(基底細胞腫、有棘細胞癌)のこともありますので、当院では切除後必ず病理検査を行っています。
トピックスでも書いていますが、原因の一つとして《日光》も考えられますので、小児、青年期の日光に対する啓蒙、生活指導も行っています。
■皮下のシコリ
粉瘤(アテローマ)、脂肪腫などが考えられます。
粉瘤(アテローマ)は皮膚の粥状物質が詰まった物(油の粕の塊)、免疫が下がった時(体調が悪い時)に感染(化膿)を起こす事があり、感染を起こす前に摘出しますが、実際は感染(化膿)を起こして受診される患者さんが多いです。 |